生後3ヶ月になる我が家のセキセイインコが突然、僕の手や耳などに噛み付くようになりました。
つい先日まで、僕の手の中でスヤスヤおとなしく眠ってくれていたのに・・・
まるで『反抗期』の子供のようです。
鳥にも『反抗期』があるのでしょうか?
『鳥くさいどっとこむ』のかたやまひとしです。
たしかに、インコなど鳥さんには、人間の『反抗期』と同じような時期があると言われています。
しかし、個人的には『反抗期』という表現にすこし違和感を覚えます。
本文中ではわかりやすく『反抗期』と表記しますが、『成長期』という表現が本質的には合っていると思います。
今回は、『反抗期』と呼ばれているこの時期がいつから始まるのか、どのような行動がみられるのか、対策などもあわせて解説をしますね。
目次
鳥さんにも反抗期はあるの?
我が家のサザナミインコ、くるみちゃんが生後2ヶ月頃のお迎えして間もないときの写真です。
この頃は、ひとしさんの手のひらでニギコロされるのが大好きだったの・・・
雛でお迎えした鳥さんが最初は手のひらで眠ったり、頭や身体をなでなでかきかきさせてくれていたのに・・・
ある日突然、飼い主に対して攻撃的になり噛み付いてくるようになったり、ケージに戻ってくれなくなったり。
人間でたとえるならば、2歳頃の幼児期にみられる『イヤイヤ期』や中学生の頃に訪れる『思春期』のように、両親や周りの人に対して反抗的な態度をとってしまう、このような一定の期間は鳥さんの『反抗期』と呼ばれています。
鳥さんの反抗期はいつ?
鳥さんの『反抗期』は、『第一次反抗期』『第二次反抗期』というように、計2回訪れます。
それぞれの『反抗期』の具体的な時期っていつごろなんすか?
『第一次反抗期』と『第二次反抗期』、それぞれの目安の時期は以下のとおりだよ。
第一次反抗期(幼鳥時代)
・小型インコ:35日齢〜5ヶ月齢
・中型インコ:50日齢〜6ヶ月齢
・大型インコ:3〜8ヶ月齢
+ + + + +
第二次反抗期(成鳥・性成熟前期)
・小型インコ:8〜10ヶ月齢
・中型インコ:10ヶ月齢〜1歳半
・大型インコ:1歳半〜4歳
幸せなインコの育て方:大泉書店・磯崎哲也著 より引用
なぜ反抗期が訪れるの?
どうしてぼくたちには『反抗期』がやってくるの?
『反抗期』は、鳥さんも僕たち人間も似たようなところがあるんだ。
『第一次反抗期』と『第二次反抗期』がそれぞれ訪れる理由について解説するね。
挿し餌をもらっていたヒナ時代を卒業し、幼鳥時代に入ったこの時期が『第一次反抗期』と重なります。
ヒナの頃は挿し餌をしてくれる飼い主さんに頼るしかなかったのに、一人餌(ひとりで餌を食べることができるようになること)になると、自我が芽生えてきます。
さまざまなことを『自分でやってみたい!』と思うようになり、自分と自分以外が存在するということも認識し始めます。
先にもすこし挙げましたが、人間で言うところの『イヤイヤ期』に相当すると言えば、イメージが湧きやすいかもしれません。
自我が芽生えた幼鳥時代を終え、若鳥時代に入った鳥さんは社会性を学び、ヒナ換羽を終えます。
そして、生殖機能がそなわる性成熟を迎える大人の鳥、成鳥時代に入ると『第二次反抗期』が訪れます。
人間で言うところの『思春期』に相当すると思われます。
人間同様、鳥さんも心と身体のバランスが崩れやすく、イライラし表立って攻撃的な行動を取るようになります。
僕が初めてお迎えした鳥さん、白文鳥のチロルちゃんは、生後2ヶ月くらい(上の写真のころ)から『第一次反抗期』が始まりました。
今でこそ、文鳥さんの噛みつきくらいなら痛く感じることはほぼなくなりましたが、当時は初めての鳥さんということもあり、予測のつかないチロルちゃんの噛みつき攻撃に恐怖を感じて、下の写真のように自分の首や耳を守るために夏でもパーカーを着用してフードをかぶって放鳥していました。
ちなみに人間の『反抗期』は大辞林(辞書)によると、下記のように定義されていますね。
自我の発達過程において、周囲の者に対して否定的・反抗的態度が強く表れる時期。自我が発達してくる三、四歳頃のそれを第一反抗期、自我の独立を求める青年期初期のそれを第二反抗期という。
スーパー大辞林(三省堂)
反抗期の鳥さんの行動
ぼくの反抗期って、どんな感じだったんすか?
なすびくんは、『第二次反抗期』が本当に激しかったんだよ。。。
とにかく放鳥中は僕の指や首、時には耳たぶも噛みまくっていたし、これはいまでも時々そうなんだけどケージに戻ってくれなかったりね。
次のような行動が、『反抗期』の鳥さんにはよく見られるんだけど、なすびくんの場合はすべて当てはまっていたね。
- 飼い主の手を嫌がるようになる。
- なでなで(カキカキ)させてくれなくなる。
- 攻撃的になり、飼い主の身体のさまざまな部位に強く噛み付くようになる。
- ケージに戻ってくれなくなる。
反抗期の対策
ひとしさんは、ぼくたちの『反抗期』への対策などはされたのですか?
鳥さんの『反抗期』自体を止めることはできないんだ。
でもね、ひとつ言えることは、あくまで反抗『期』だということ。
終わらない『反抗期』は無いからね。
その期間が過ぎることを待ったよ。
個体差はあるでしょうが、反抗期の長さ(期間)は1ヶ月くらいで収まる子もいれば、数ヶ月続く子もいます。
しかし、反抗期がこの先ずっと続くことはありません。
また、『第一次反抗期』は、鳥さんにとっての学習期のはじまりの時期とも重なります。
鳥さんのくちばしは、食事を摂取するためだけでなく、触覚としての機能も備わっており、学習期の鳥さんは新しく目についたものをとりあえずくちばしで噛んでみて、それが硬いのか柔らかいのか、食べられるものなのかどうかなどを確かめようとします。
ですから、飼い主さんの身体のあちこちに噛み付くことは、ごく自然な成長過程の一部なのです。
成長・学習の証でもあるこの反抗期の鳥さんの行動を飼い主さんは、どうぞ大きな心で受け止めてあげてください。
でも、大好きなかいぬしさんに噛み付いてしまうのは、やっぱりもうしわけないね。。。
くるみちゃん、ありがとうね。
『反抗期』自体を抑える対策ではないけれど、鳥さんたちとコミュニケーションをとりながらさまざまなトレーニングができる『クリッカートレーニング』を放鳥中にすることで、噛み付く意識を分散させることはある程度できるかもしれないね。
本来、クリッカートレーニングとは、飼い主が鳥さんに望む行動を音の鳴る道具『クリッカー』とご褒美のおやつなどを用いて、コミュニケーションを取りながら楽しくおこなうトレーニングです。
我が家では『第二次反抗期』でイライラして噛み付き行動の激しかったサザナミインコのなすびくんに、このクリッカートレーニングを放鳥中におこなうことで、クリッカートレーニングが『噛み付くことよりももっと楽しいこと』と認識してもらい、攻撃的な気持ちを分散させる、そらすことができて、放鳥中の噛み付きをある程度軽減させることができました。
『クリッカートレーニング』については、下記の記事やYouTube『鳥くさいちゃんねる』でも紹介しておりますので、チェックしてみてくださいね。
反抗期とよばないで!
僕も今まで育ててきた6羽の鳥さんたちの幼鳥期、そのほとんどにおいて、『反抗期』は手を焼きました。
ただ、飼い主にとっては、問題行動のように感じられる鳥さんの『反抗期』も、その子にとっては成鳥へと自立していくために必要な成長過程と言えます。
今思い出すと、その子たちそれぞれの『個性を形作る大切な時期でもあったんだな』と苦労した時期を懐かしく、そして微笑ましく思い返すことが出来ます。
どうか『反抗期』ではなく、鳥さんにとっての大切な『成長期』である、と人間の子育て同様、根気強く見守ってあげてください。
そんな鳥さんの『成長期』は、飼い主さん自身の成長期でもあるのです。