鳥さんを診てくれる動物病院で獣医師から『ペレットへの切り替え』を勧められました。
でも、飼っているオカメインコは、シードしか食べたことなくて。
シードからペレットの切り替えは難しいと聞いたことがあります。
切り替えのコツなどはありますか?
栄養のバランスなどを考えて、シードよりもペレットを勧める獣医師は多いです。
我が家の鳥たちもみんな主食はペレットです。
『シードからペレットへ切り替えるメリット』『ペレットに慣れてもらうコツ』『ペレットへの切り替え方』『切り替える際の注意点』『切り替えができなかったときの対処法』などを解説しますね。
目次
シードからペレットへ切り替えるメリット
自然界ではインコなどの鳥さんはシード(植物の種)や果実、虫などを食べて生活しています。
そのため、昔から飼い鳥の餌もシードが中心でした。
しかし、ここ十数年で総合栄養食であるペレットがアメリカやオーストラリアを中心に、飼い鳥さんの主食となりつつあります。
日本においても、ここ数年で鳥専門の獣医師からペレットを主食にするように勧められることが多くなりました。
ペレット食のメリットとデメリットは以下のとおりです。
- 栄養をバランスよく摂取できる
- シードをバードトレーニングに活用しやすくなる
- 動物病院で出される処方食はペレット
- 味が淡白なため食べてくれない鳥さんもいる
- 開封後の使用期限が短い
- 海外製のペレットは入手困難になる可能性もある
メリット・デメリットについての詳細な解説は『シード?ペレット?どっちがいいの?』の記事をお読みください。
ペレットへの切り替えは難しい?
長い長い鳥類の歴史上、多くの野生の鳥さんたちは『シード』を主食としてきました。
そのためだと思いますが、飼い鳥さんにおいても本能的にシードは比較的どんなものでもすんなりと食べ始めてくれますし、ペレットが主食の飼い鳥さんが、シードを嫌いになるということはあまり聞いたことがありません。
そして、さきほども少し触れましたが、シードに比べるとペレットはタンパク質や脂肪分が少ない分、味も淡白で嗜好性が低いようで、美味しさという点で鳥さんにとってはシードのほうが好まれる傾向が強いです。
ですので・・・
主食をシードからペレットへ切り替えることに苦労する飼い主さんは、とても多いです。
ほとんどのペットショップでは雛を挿し餌から一人餌に移行する際にはシードを与えるケースが多く、お迎えした時点ですでにシードが主食となっている鳥さんは、特にペレットへの切り替えが難しいです。
また、長年シード食のみですごしていた鳥さんについても、個体差はありますが、すんなりとペレット食へ移行させることはとても困難です。
我が家のオカメインコ、ポテトくんは生後5ヶ月ほどでお迎えをしたのですが、ショップではシードが主食でその他にはコーンや煮干しなどで育ててくれていたようで、ペレットへの切り替えに少し苦労した覚えがあります。
ペレットに慣れてもらうコツ
初めてペレットを見る鳥さんにとっては、これが『食べ物』であるということが分からなかったり、怖がって近づくことすらできない子もいます。
我が家の『シードからペレットへの切り替え方』を紹介する前に、まずはペレット自体に慣れてもらうコツを3つお伝えしますね。
飼い主の手から与える
飼い主の手(指)を怖がっていない子であれば、放鳥中などにまずはいつも食べているシードを手のひらにのせたり、指先でつまんで与えてみてください。
何度か繰り返したのちに、そっとペレットに持ち替えて与えてみましょう。
飼い主さんの手から直接食べるのが好きな子は多いです。
案外、ペレットに慣れるきっかけになるかもしれません。
他の鳥が食べているところを見せる
野生では、鳥さんは群れで生活をする生き物です。
鳥さんは群れの仲間の行動を真似る習性がありますので、他の鳥さんが食事を始めるといっしょになって食べ始めることがあります。
ちなみに、我が家でもそうなのですが、飼い主さんを群れの仲間だと思っている場合、飼い主さんが食事を始めるとケージの中の鳥さんたちも餌を食べ始めることがあります。
このような習性を利用して、すでにペレット食の鳥さんがペレットを食べている姿をその子に見せてあげてください。
もしくは、僕たち飼い主がペレットを食べているような演技をして見せることも効果があります。
Birdie’s Choice(バーディーズチョイス)
2018年1月に、アメリカの老舗ペットフードブランド『ズプリーム社』の公式YouTubeチャンネルで紹介されたペレットに慣れてもらう方法『Birdie’s Choice(バーディーズチョイス)法』です。
飼い主さんが掛ける言葉や頭をなでなでされることが大好きな鳥さんに有効です。
手順は以下のとおり。
- サイズや形、色などが異なる3種類のペレットを用意する。
- テーブルにちいさな山を作るように3種類のペレットをセットし、鳥さんもテーブルにのせる。
- 鳥さんがいずれかのペレットに近づいて、食べ始めたら声を出してほめてあげたり、頭をなでてあげる。
すんなりと食べてくれなくても、いずれかのペレットに近づくことができたら『ちょっぴり褒めて』あげて、さらに脚やくちばしで触れることができたら『もっと褒めて』あげて・・・というように、ペレットを口にしてくれるようになるまで、徐々にほめる度合いを高めていくのも良いでしょう。
ペレットへの切り替え方
我が家にシード食の鳥さんをお迎えした際におこなっている『ペレットへの切り替え方』を紹介します。
もちろん、さきほどお伝えした『ペレットに慣れるコツ』を実践して、すんなりとペレット食への完全移行ができた場合は、これから紹介する切り替え方法を試す必要はありません。
その鳥さんにとっての一日に必要な餌の量の内訳を『シード9割:ペレット1割』というようにシードの量を少し減らし、その減らした分ペレットを加えます。
ペレットをまったく食べてくれる気配がなかったり食いつきが悪いようなら、ミルなどで細かく砕いて粉末状にし、シードの上からふりかけてみると良いかもしれません。
粗さ調節はもちろん、分解して手軽に洗浄ができます。
大きすぎたり、硬すぎて愛鳥さんが食べることができないペレットを砕くのにも便利です。
ペレットを食べきっているのを確認したら、翌日はペレットの割合を少し上げるというようにして、徐々にペレットの割合を増やしていきます。
⚠注意:毎日体重を量って、急激に体重が減少(適正体重より10%以上減少すると危険です)していないか、元気がなくなっていないかなど、鳥さんのようすを充分チェックしながらおこなってください。
ペレットを食べることにも慣れてきたら、ペレットを与える時間とシードを与える時間を区切ってみます。
日中(朝から夕方まで)は餌箱に一日の食事量の7割ほど量のペレットだけを入れ、夕方以降から寝かせる前にかけて残り3割のシードを与えるというように。
朝の空腹状態にペレットしか食べられない状況を作ることで、ペレットにより慣れてもらうことができます。
日中の分のペレットを食べきるようになれば、徐々にその割合を増やしていき、寝かせる前のシードの割合は減らしていきます。
最終的にペレットの量が10割になれば、ペレットへの切り替えが完了です。
⚠注意:完全にペレットに切り替わるまで、数ヶ月かかる場合もあります。鳥の体重・体調に充分注意しながら、切り替えをおこないましょう。
ペレットへの切り替えができなかったら
数ヶ月経ってもペレットへの切り替えがうまくいかなかった場合は・・・
あきらめましょう!
ペレットだけが鳥さんの餌ではありません。
愛鳥さんが感じるストレスが逆に健康を損ねてしまっては、元も子もありません。
今までどおりシード食を中心に、足りないビタミンやミネラルは青菜(豆苗や小松菜など)や下記のようなサプリメントで補給しましょう。
おわりに
ペレットの歴史はまだ浅く、数十年後にはペレットやシードに代わるより健康的な餌が開発されたり、発見される可能性もゼロではないでしょうが、現時点ではペレットが総合栄養食として優れているとされています。
ペレットは僕たち人間が試しに食してみても分かるのですが、とても淡白ではっきり言って美味しくはないです。
我が家ではペレットが主食ではありますが、放鳥時にはおやつとしてシードも与えています。
中には美味しいペレットもあるかもしれませんが、個人的にはシードをまったく与えずに食の楽しみを奪ってしまうことは、ちょっと可哀想な気がします。
愛鳥さんが幸せな気持ちで日々を過ごせるように、食事の栄養バランスだけでなく、楽しみに関してもコントロールしてあげるのが僕たち飼い主の責任のひとつかもしれません。
あなたのバードライフを応援させてくださいね。
『鳥くさいどっとこむ』かたやまひとしでした。