

鳥さんがケージの中で元気に遊びまわったり、可愛い声で鳴いていたり。
愛鳥のそんな姿を見ているだけで、本当に癒やされますよね。
でも、もしその元気な姿が、体調の悪さを隠すための「演技」だとしたら・・・?

野生の鳥さんは、天敵に弱っていることを悟られないように、ギリギリまで元気を装う習性があります。
その本能は、私たちと暮らす飼い鳥さんにも残っている可能性があります。
だからこそ、飼い主である私たちが、愛鳥の小さなSOSサインに気づいてあげることが、何よりも大切になります。

『でも、具体的にどこを見ればいいの?』
『毎日忙しくて、細かいチェックは難しそう・・・」

そんなふうに感じている方も多いかもしれませんね。
僕も最初はそうでした。
そこで今回は、数ある健康チェック項目の中から、鳥さんが絶対に隠すことのできない『2つの正直なサイン』に絞って、誰でも今日から実践できるチェック方法を詳しくご紹介します!
その2つのサインとは・・・

ズバリ『体重』と『フン』です!

この記事を読み終える頃には、「これなら私にもできる!」「明日から早速やってみよう!」と思っていただけるはずです。
大切な家族である愛鳥さんのために、ぜひ最後までお読みくださいね。

目次
愛鳥の命を守る最強のバロメーター!毎日の『体重測定』が重要なワケ
あなたに質問です。
『愛鳥さんの体重、毎日測っていますか?』


『え、毎日!?そんなに頻繁に?』と驚いた方もいるかもしれません。
でも、断言します!
毎日の体重測定こそ、愛鳥の健康を守るための最強の武器なんです。

なぜなら、鳥さんは私たちの前で「元気なフリ」や「食べているフリ」をすることがあっても、体重という『客観的な数字』は決して嘘をつけないからです。
準備するものは?「0.1g単位」で測れるスケールを!

鳥さんの体重測定には、「0.1g単位」で測れるデジタルスケール(キッチンスケール)の準備をおすすめします。



たった1gが命取りに?鳥さんにとっての体重の重み


例えば、体重が35gのセキセイインコがいるとします。


この子にとって「たった1g」の体重減少は、どれくらいのインパクトがあると思いますか?
なんとこれ・・・


体重60kgの人間で例えると、約1.7kgも一気に痩せてしまうのと同じくらいの、とんでもない変化なんです!
僕自身も以前、お迎えしたばかりの文鳥さんが、見た目は元気でご飯も食べているように見えたのに、毎日0.3g、0.4gと少しずつ体重が減り続けていたことがありました。


「気のせいかな?」と思いつつ病院へ連れて行くと、病気の本当に初期段階だった、という経験があります。


数字の正直さに驚かされた出来事でした。
いつ測るのがベスト?体重測定のタイミングと記録のコツ


体重を測るベストなタイミングは、『毎日同じ時間、できれば朝ご飯の前』です。
食事の量に左右されず、その日の最も正確な体重を把握することができます。


測った体重は必ず記録しておきましょう!


手帳やスマートフォンのアプリなどに『愛鳥さんとの交換日記』みたいな感じでメモしていくと、日々のわずかな変化に気づきやすくなります。
万が一動物病院にかかる際にも、獣医師さんにとって非常に貴重な診断データになります。
注意すべきは「減少」だけじゃない!体重増加に隠された病気のサイン


体重チェックで注意すべきなのは、「減少」だけではありません。


急激な『増加』にも注意が必要です。
特に女の子の場合は・・・
- 産卵の兆候
- 命に関わる「卵詰まり」
- お腹に水が溜まる「腹水」
- 腫瘍
といった可能性も考えられますので、気をつけて見てあげてくださいね。


体の中からのお便り!『フン』で読み解く健康状態


そして、もう一つの正直なサインが、毎日のケージ掃除で必ず目にする『フン(排泄物)』です。


「フンの話?」と思うかもしれませんが、これこそが愛鳥の体の中から届く『健康だより』なんです。
H3: フンの基本構成を知ろう!3つのパーツをチェック
鳥さんのフンは、実は3つのパーツで出来ていることをご存知でしたか?


- フン(固形便):食べたものが消化された固形の部分。 通常は緑がかった茶色をしています。
- 尿酸:フンの上に乗っている白いクリーム状の部分です。
- 尿:フンの周りに染み出している透明な液体の部分です。


毎日の掃除の際に、この3つの状態(色・形・量)をチェックするのが基本になります。
『下痢』と『多尿』は全くの別物!
鳥飼い初心者の方が特に間違えやすい、とても大切なポイントがあります。
それは・・・
『下痢』と『多尿』の違いです。


フンの固形部分がドロドロで形を失っている状態です。
主に、胃や腸といった消化器系のトラブルが考えられます。
多尿
フンの固形部分はしっかり形があるのに、周りの水分(尿)がやけに多い状態です。
換羽や発情、夏場の水分摂取量の増加が原因のこともありますが、腎臓の病気などが隠れている可能性もあります。
この2つは原因が全く違うため、病院で獣医師さんに症状を伝えるときも、「下痢をしています」と伝えるのか、「フンは固まっていますが、おしっこが多いです」と伝えるのかで、診断の助けになる度合いが大きく変わってきます。
ぜひ覚えておいてくださいね。
こんな色のフンは超危険!すぐ病院へ行くべきSOSサイン


もし、こんな色の『健康だより』が届いたら、様子見は絶対にNGです!


真っ黒なフン
胃や腸など、消化管からの出血のサインかもしれません。かなり危険な状態です。
赤いフン
血が混じっている状態です。どこかで出血しています。
濃い緑色のフン
鳥さんがエサを食べていない「絶食便」の可能性があります。
鮮やかで濃い緑色のフン
鉛などによる金属中毒の可能性も考えられます。
尿酸の色も要チェック!
普段は白いはずの尿酸が、黄色や緑色をしていたら、肝臓に負担がかかっているサインかもしれません。


「いつもと違う」と思ったらスマホで撮影をしましょう!
フンの状態は、時間が経つと乾燥して分からなくなってしまいます。
「あれ?」と思ったら、すぐにスマートフォンで写真を撮っておきましょう!
その一枚が、獣医師にとって、診断の決め手となる非常に貴重な情報になるかもしれません。
まとめ:小さな観察が、愛鳥とのかけがえのない時間を延ばす
今回は、鳥さんが隠すことのできない正直なサインとして、「体重」と「フン」のチェックポイントを深掘りしてきました。
愛鳥さんは「苦しいよ」「痛いよ」と、言葉で私たちに訴えることはできません。
だからこそ、私たちが毎日の小さな習慣で、そのサインを読み取ってあげることが、何よりも大切です。
「元気そうに見える」という主観的な情報に、「体重」と「フンの状態」という客観的なデータをプラスしてあげる。
この視点を持つだけで、あなたの愛鳥家としての「観察眼」は、格段にレベルアップするはずです。
「なんだか難しそう…」と感じましたか?
そんなことはありません。


まずは、明日の朝、愛鳥さんをキッチンスケールに乗せてみませんか?
そして、ケージを掃除するとき、10秒だけじーっとフンを眺めてみてください。
その小さな一歩が、愛鳥さんの健康寿命を延ばし、皆さんとのかけがえのない時間を、もっともっと長く、幸せなものにしてくれると、僕は信じています。



