今度、初めてセキセイインコをお迎えしようと考えているんですが、鳥さんのこと何も知らなくて・・・不安です。
鳥さんと暮らすために必要な考え方などありますか?
鳥さんとの暮らし、バードライフにおいてとても重要な考え方があります。
『鳥の十戒(じっかい)』というものです。
こちらを紹介させていただきますね。
目次
鳥の十戒とは
鳥さんを飼育するにあたって、『鳥の十戒』というとても大切な考え方があります。
『十戒(じっかい)』とは、十個の戒め(いましめ)、という意味。
戒め、つまりは教訓だとか守るべきルールと言い換えても良いでしょう。
『鳥の十戒』には、鳥さんから私たち飼い主に向けられた切実なお願いが10個記されています。
これから鳥さんをお迎えしようかな?と考えてる方はもちろん、すでに鳥さんと暮らしてらっしゃる飼い主さんにも知ってもらいたい考え方です。
今回の記事を制作するにあたり、飼い鳥の保護団体『認定NPO法人TSUBASA』さまより、日本語訳の『鳥の十戒』の出典・掲載許可をいただきましたこと、感謝致します。
ありがとうございます。
鳥の十戒:その①
鳥さんはあなたが思っている以上に長生きをする生き物です。
小型の鳥さんでも10年前後。
中型の鳥さんだと20年前後。
大型の鳥さんになると、その寿命は30年にも50年にも及ぶことがあります。
いまの年齢で鳥さんをお迎えしてその愛鳥さんをあなたが、もしくは家族のだれかが見送ることができる可能性は高いですか?
もちろんだれも自分の将来の行方はわからないとは思います。
でも、お迎えをする前に自分のライフプランをしっかりと想像してから、バードライフを始めるようにしましょう。
2羽目、3羽目をお迎えしようと考えてらっしゃる方も同様に。
鳥さんにはあなたしかいないんです。
どんなに賢い鳥さんでも、あなたがある日突然いなくなる心の準備はできません。
鳥の十戒:その②
この『あなたが私に望んでいること』というのは、例えば・・・
『新しいペレットを食べてほしいな』とか。
『放鳥タイムが終わったらケージに戻って欲しいな』とか。
『突然噛みつかないでほしいな』とか。
バードライフのなかで、私たち飼い主は愛鳥さんの行動に対して『こうしてほしいな』というお願いがどんどん増えてきます。
鳥さんと良い関係を築いていくには、たくさんの時間が必要です。
新しい環境やモノに慣れるまで。
飼い主さんとのルールを理解するまで。
どうか、辛抱強く待ってあげてください。
トレーニングをするのであれば、飼い主さんは根気強く愛鳥さんと向き合ってくださいね。
鳥の十戒:その③
TSUBASAさんの日本語訳では『私を信じてください』と訳されていますが、英語の原文では『Place your trust in me.』『私を信頼してください』となっているので、「信じる」と「信頼」で微妙にニュアンスが異なります。
この記事では、原文に近いと思われる『信頼してください』つまり『信じた上で頼ってください』の意で解説をします。
鳥さんからすると『私を信じて頼ってね』ということ。
僕自身、鳥さんに頼っている、助けられることは多々あります。
鳥飼いさんなら、一度はこんな経験がありませんか?
日々の暮らしやお仕事、学校などでちょっぴり辛いことがあったとき。
帰宅してケージのなかの愛鳥さんに向かって、話をただただ聞いてもらう。
たまに、「ピッ」と応えてくれる鳥さんに励まされる、そんな経験。
いつもはやんちゃな愛鳥さんが、飼い主さんがしょぼくれているときだけ、肩でおとなしくちょこんと寄り添ってくれる。
いつもと様子の違う飼い主さんを心配しているんですよね、きっと。
ちょっとだけ夢のないことを言うと・・・
鳥さんは私たち飼い主を群れの仲間だと認識しています。
群れの仲間が弱ってしまったり、いなくなることは、自分の暮らしにおいて危機感が増すことにつながります。
ですので、飼い主さんの異変には敏感に反応するとも言えます。
いずれにしても、言葉を交わさなくても気持ちが伝わっている可能性は高いです。
飼い主さんと鳥さんは『対等な関係』です。
助けたり、助けられたり。
愛鳥さんに頼ることも、もしかしたら愛鳥さんにとっての幸せにつながるのかもしれませんよ。
鳥の十戒:その④
この項目には、ふたつポイントがあります。
1つ目は、飼い主さんが愛鳥さんに対して怒ることがある、ということ。
もうひとつは、愛鳥さんにはあなたしかいない、ということ。
まず、1つ目。
『あなたは愛鳥さんに怒ることはありますか?』
怒ると言っても、暴力的な行為をともなう怒りは言語道断ですし、そんな方はいないと信じます。
ただ、思い通りの行動をしてくれないときにイラッとしたりすることはあるでしょう。
例えば・・・いつもはスムーズにケージに戻ってくれるのに、このあと出かけなきゃいけないときや、晩御飯の支度をしなきゃならないときに限って、その日はなぜか帰宅拒否。
例えば・・・そこにしちゃうと掃除がめちゃくちゃ面倒だよ・・・という場所にべっちゃりとウンチをしちゃう。
何らかの意志を持って、ケージに戻らないことはあっても、そこに悪意はおそらくないでしょう。
ケージに戻ってくれないことにイラッともしますが、次の日になってからでも良いので『どうしてケージに戻ってくれなかったのか?』ということをちょっと考えてみましょう。
放鳥時間が短かったのかな?
コミュニケーションが足りなかったのかな?
ケージの中に怖いものでも入れちゃってたかな?
ケージに戻ってくれないことが続いたのであれば、何らかの対策を試みてみましょう。
バードライフは日々の観察とより良い環境を整えるための試行錯誤の連続です。
トライアンドエラーを楽しめるようにもなってきますよ。
そして、もうひとつのポイント『私にはあなたしかいないのです』。
私たち飼い主は、朝から夜まで会社や学校で人と接し、いろいろな体験をし、自分の意志で生活をコントロールすることが出来ます。
しかし、飼い主さんが居ない間、部屋のケージの中でずっと一人で私たちの帰りを待ち続ける鳥さんは、ケージの綺麗な環境もごはんも自由に遊ぶこともすべて飼い主のあなたに委ねられています。
愛鳥さんがあなたをじっと見つめているとき『私にはあなたしかいないのです』と語りかけているのかもしれませんよ。
鳥の十戒:その⑤
先ほども少し触れましたが、鳥さんは野生では群れをなして生活をする生き物です。
群れの仲間同士、鳴き声を交わし合うことでコミュニケーションを取り合います。
たとえば、群れの近くに外敵が近づいてきたことに一羽が気付くと、『襲われるぞ!危険だぞ!』という警告として、特定の鳴き声を発して群れの仲間たちに知らせます。
また、ときには、パートナーになりたいな、と思った相手に対してオスの鳥さんが独特な鳴き声や魅力的な歌でメスに求愛をします。
これら仲間に何かを知らせたり、求愛をするときの鳴き声は、私たち飼い主に向けても発せられます。
飼い主の私たちを群れの仲間であったり、求愛の対象として認識することもあるからです。
それなのに、愛鳥さんの鳴き声に対してまったく反応しなかったり、逆に飼い主さんから何も話しかけてくれなかったら、愛鳥さんは日常的に不安を感じながら、寂しい思いもしながら暮らすことになってしまいます。
あなたの姿はもちろんですが、毎日聞いているあなたの声、その声が自分に向けられたとき、愛鳥さんは最高に嬉しい気持ちになりますし、何より安心感を得ることができます。
優しく積極的に声をかけてあげてくださいね。
鳥の十戒:その⑥
ゾッとするでしょう?
でも、本当なんですよ。
鳥さんは、自分の意に反する嫌なことをされた場合、そのなかでも特に強烈に嫌だったことを長期間記憶しています。
TSUBASA代表の松本壯志さんの著書『鳥のきもち』のなかにもこのようなエピソードが書かれてあります。
ちなみにこの書籍は鳥さんの目線で鳥さんが私たち人間に語りかける設定で文章が書かれてあります。
すこし引用をさせていただきますね。
この前、10年ぶりにたずねてきた男性がいました。彼とは犬猿の仲でしたので、ときどきかみついたこともありました。10年ぶりの再会では、ほかにもまわりに100名くらいの人がいましたが、私はすぐ彼がわかりました。彼が近づいてきましたので、血が騒いでご挨拶がわりにかみついちゃいました。
このように、何年も時が経っても強烈に嫌だったことやその相手のことは、鳥さんはかなりの確率でしっかりと覚えています。
でも、その逆もしかり、なんですよ。
良くされたことなど幸せな思いをした記憶もしっかりと覚えています。
どうか、たくさんの幸せな記憶を愛鳥さんには覚えてもらってくださいね。
鳥の十戒:その⑦ & その⑧
『鳥の十戒』その⑦とその⑧はいっしょに紹介をさせていただきますね。
大前提として、動物を叩くなど傷つける行為は『動物の愛護及び管理に関する法律』いわゆる『動物愛護管理法』によって懲役刑もしくは罰金刑が科せられます。
この法律の有無に関わらず、どんな理由があったとしても虐待行為は人として最低の行為です。
このような虐待行為をする愛鳥家さんはいないと信じますし、あくまでこの文章は例えである、ということは、みなさん承知だとは思います。
鳥さんには、形状は鳥種によって多少異なりますが、鋭利なくちばしがあります。
くちばしには、食べ物を掴んだり砕いたりする機能はもちろん、羽の手入れをしたり、ときには巣作りの作業にも役立ちます。
そして、敵の攻撃から身を守るため、抵抗するときにくちばしで攻撃・反撃もします。
『あなたの手の骨をたやすく咬み砕いて〜』とありますが、あながち大げさな話ではなく、くちばしでガッツリと噛まれて流血することなども全然珍しいことではないです。
ただ、『でも私は噛みません』とあるように、鳥さんが噛みつくにはちゃんとした噛みつく理由が必ずあります。
さきほどの『あなたがどのように私を扱っても、私はそれを忘れません。』のように、嫌なことをされたときはもちろん、発情期であったり羽が生え変わる換羽期などにはイライラして攻撃的になる鳥さんもいます。
あるいは、遊んでほしくてちょっかいを出したつもりが、甘噛みの域を超えてしまって強く噛まれてしまうことなどもあります。
同じように、『協力的でない』『ガンコ』『だらしない』つまり、飼い主さんの望んでいる行動をしてくれないときも、その鳥さんの行動にはちゃんと理由があります。
『協力的になってよ』『ガンコだなぁ』『だらしないなぁ』というのは、あくまで人間からだけの視点で考える問題的な行動です。
鳥さんはいつも正しい判断をして、間違った行動はしません。
鳥の十戒:その⑨
鳥さんも私たち人間と同じように、老齢になるとさまざまな体の機能が低下していきます。
脚の力が弱まったり、羽の艶が落ちたり羽の形成がうまくいかなくなったり、目には白内障の症状が現れたり。
もちろん内蔵の機能が低下していくこともあるでしょう。
歳を重ねて老鳥の域に入ると、出来ていたことがだんだんと出来なくもなります。
11歳と9ヶ月でお空に旅立った我が家の文鳥ラムネくんも、飛ぶ力、脚力と順番に落ちてきて、白内障を発症して目が見えなくもなりました。
いわゆる老鳥さんの域に入ったかな?と感じたときには、それらしい病気の症状などが見られなかったとしても、爪切りのついででも良いので愛鳥さんを健康診断に連れて行ってあげることをおすすめします。
鳥の十戒:その⑩
愛鳥さんはあなたのお家に迎え入れられたときから、バードライフを終えるそのときまで、一貫して飼い主のあなたのことを大事な群れの仲間、パートナー、かけがえのない存在として愛を持って接してくれます。
息を引き取る瞬間に立ち会える人もいれば、そうでない人もいます。
また、鳥さんによってはもしかすると自分の弱ったところ、息絶える瞬間を誰にも見られたくない・・・と思っている鳥さんもいるかもしれません。
幸せに正解がないように、お別れにも正解がないと思います。
お別れのときももちろん大切な瞬間ですが、いっしょにすごしてきた愛鳥さんとの暮らしを『楽しかったな』『幸せだったな』といつでも思い返せるように、いまこの瞬間のバードライフを丁寧にかつ楽しく過ごすことが大事なのではないでしょうか。
おわりに
いかがだったでしょうか?
飼い鳥さんは単なるペットではありません。
お互いに愛情深い関係を築くことができる、いわば家族の一員です。
もし、あなたが今後、鳥の飼育に悩まれた際には、この『鳥の十戒』を思い出してみてください。
このブログ記事を読み返しても良いですし、手帳にメモをしておくのも良いでしょう。
『鳥の十戒』、これらの言葉に救われることがあると思いますよ。
ぜひ、記憶にも記録にもとどめておいてくださいね。
あなたのバードライフを応援しています。
『鳥くさいどっとこむ』かたやまひとしでした!