我が家には9歳になるおじいちゃん文鳥がいるのですが、最近飛ぶ距離が短くなったり、昼間でもウトウトしていることが多くなってきました。これらは高齢によるものなのでしょうか?
少しでも長生きをしてもらいたいので、老鳥さんとの付き合い方を教えてもらえませんか?
我が家にも8歳になる文鳥がいます。
同じように、少しずつ老いが原因だと思われる症状やしぐさが見られてきました。
老鳥との生活は僕も未知の領域なので、こちらの『うちの鳥の老いじたく』という書籍で老鳥との付き合い方を勉強中です。
僕が気になった節のいくつかを紹介させていただきますね。
老鳥さんとの生活において、とても役に立つ一冊ですよ。
目次
年をとるにつれて、鳥の体や心にどんな変化が出てくるのか。それに対して、人間にはなにができるのか。鳥にとってのバリアフリーな環境とは、どんな環境なのか。
年齢を重ねた鳥と暮らす人たちがこれから直面するであろう課題を整理し、それに向き合うためのヒントやノウハウをまとめてみたのが本書です。
もともと鳥は、人間が思っているより、ずっと長寿の生き物です。その長い寿命のさいごまで、快適に過ごしてほしいと願っています。人間と鳥が寄り添って、心ゆたかに暮らしていくために、わかってきたことをもとに、できる提案やアドバイスをしていきたいと思います。
うちの鳥の老いじたく:「はじめに」より 引用
僕がこの書籍を手にとったのは、2017年の秋でした。
著者である細川博昭先生の書籍は以前から何冊か読んだこともあり、とくに『インコの心理がわかる本』は何度も読み返して飼い鳥との適切な距離感や観察の大切さを痛感し、心理的な側面からも我が家の鳥たちのことをもっと知りたいと思えるようになりました。
そんな細川先生の新刊が『老鳥』をテーマにした内容だと知って、発売後すぐに購入したのを覚えています。
当時はまだ、我が家の最年長の文鳥ラムネくんもまだ5歳で老鳥の域には達していませんでしたが、2〜3年後には文鳥にとってのいわゆる老齢期に入るだろうし、いまから読んで飼い主として準備をしておこうと思ったのです。
2020年の今、文鳥のラムネくんは8歳の誕生日を迎えました。
羽艶もよく、見た目にはとても老鳥の域の文鳥には見えません。
ただ、ここ最近は夜中に止まり木から脚を踏み外して落ちてしまうのか、ちょっとしたパニックを起こしてしまったりもします。
昼間でも眠そうにしている時間が増えました。
改めて、この『うちの鳥の老いじたく』をいま読み返してみたいと思います。
ぼくがおじいさんになっても、最期までちゃんとお世話してね。約束だよ、ひとし!
僕がとくに気になってブックマークした節を7箇所、紹介しますね。
(※節のタイトルは引用させて頂いております)
人間は、頭髪に白いものを見つけたり、ちょっとした運動で息切れがするようになったり、老眼の症状が出たりすることで自分の体に老いを感じ始めます。
僕も初めて自分の白髪を見つけたとき、かなりショックでした(笑)
では、鳥はどうなんでしょう?
この節では、
・鳥が自分の老いについてどう感じているのか
・季節感や1年というサイクルを理解しているのか
という鳥の老いや時間に対しての意識について解説されています。
そして、僕がハッとさせられたのはこちら。
鳥が老いによる体の不具合について、思い悩むのかどうかという点について。
もともとが野生の生き物である鳥は、思い悩むことは生存率を高めることに結びつかないことを知っています。
うちの鳥の老いじたく:1章より 引用
「悩む時間があるなら、今できることをする」
ぼくたちは、瞬間瞬間をいっしょうけんめいに生きているんです。
僕は小さなことにクヨクヨしたり、将来を不安に思って落ち込んだりしやすいのですが、鳥たちを見ていると本当にその一瞬一瞬に感情をぶつけて楽しんだり怒ったりしているなぁと。
なんだか鳥たちに生き方を教えてもらっているような気もしてきました。
長年、鳥と暮らしている方はこんな経験ありませんか?
「うちのインコ、昔はやんちゃで手に負えなかったのに、最近はすっかりベタ慣れの良い子ちゃんになったのよ」
このような鳥の飼い主(パートナー)に対する接し方の変化について、
・鳥の行動が変化する原因とは?
・不安を感じた鳥の本能はどのような態度に変化し、行動するのか
という鳥の本能と態度の変化が解説されています。
鳥の心はある点、とてもかたくなですが、一方で柔軟な部分ももっています。「生きる」ということを考えたとき、どうすることが最良なのかを本能で知ります。
うちの鳥の老いじたく:2章より 引用
頑固なのに時として柔軟、かつクールな鳥。
なんだか、かっこいい・・・
だろ?
鳥種にもよると思いますが、そもそも鳥って何歳からが「高齢」なのでしょうか?
ちなみに我々人間の「高齢」とは、日本老年医学会の見解によると日本を含む世界の多くの国において、高齢者とは65歳以上の年齢の人をさしているそうです。
この節では、
・人間のように一言で表すことが難しい「老鳥の定義」
・生き物の染色体の両端にある組織「テロメア」と鳥の寿命に関する最近の研究
について解説されています。
(※テロメアについてはこちらのサイトも参考になります)
染色体?テロメア?
なんだか難しそうな言葉だけど、イラストも交えて分かりやすく説明してくれているヨ!
また、よく飼育書やネットで見かける鳥の年齢を人の年齢に換算すると・・・という年齢換算表については以下のように解説されています。
年齢換算表自体、だれかの想像にすぎず、科学的な根拠が乏しいことも事実です。
うちの鳥の老いじたく:2章より 引用
僕のLINE公式アカウントやInstagramのDM、YouTubeのコメント欄へも「人間でいうと何歳くらいでしょうか?」と質問をよく頂きます。
そういうときはやはり飼育書やネットの情報で得た大体の年齢をお伝えして「あくまで目安ですが」と付け加えています。
鳥を長生きさせるためには『適切な栄養バランス』と『肥満の防止』、そして『物理的・精神的なストレスを与えない』ことが大事であると、この節では解説されています。
・飼い主の鳥の食事についての知識向上
・食事管理と体重管理の重要性
・メンタルケアの必要性
人間の長生きの秘訣となんだか似ていますね。
孤独やさびしさが鳥に与えるストレスは大きいと言われています。
この節にはこのような記述も。
今、欧州では、群れで暮らす生き物の単独飼いを認めない方向に社会が動いています。
うちの鳥の老いじたく:3章より 引用
いずれ日本でも、同種2羽以上での飼育が推奨されるようになっていくでしょう。
ぼくと同じサザナミインコの「くるみ」ちゃんがうちにやってきて、毎日たのしいッス。
我が家にはサザナミインコが2羽いて、決して仲良くはないのですが(笑)お互いに刺激を受けているようです。
なすびくんは、くるみちゃんが来てから性格が丸くなった気がします。
鳥は、たとえその姿が見えなくとも、よく知った相手なら、声を聞くことで、どこにいるのかはもちろん、どんな気分なのか、自分に伝えたいことがあるのかどうかも察します。
うちの鳥の老いじたく:4章より 引用
この節では、
・飼い主と『声』でつながっていることを確認することで、鳥は安心感を得る。老鳥にはとくにその傾向がある。
という鳥に対するメンタルケアについて解説されています。
鳥は本来群れをなして生きる動物です。
飼い鳥であれば、群れの仲間として認識している飼い主との主なコミュニケーション手段は『声』です。
ケージの前を通りすぎるときに、ひと声かけてくれるだけでもぼくたちは嬉しいんだよ!
『声』をつかう『音声コミュニケーション』は、鳥と人間の共通点でもあります。鳥のなかには、鳴き声を組み立てて『文法』のような表現をしているのではないか?とも言われています。
細川博昭先生の著書『鳥を識る: なぜ鳥と人間は似ているのか』でも鳥と人間との共通点について詳しく書かれてありますので、ご興味ある方はぜひお読み下さい。
なぜ僕たちが鳥に惹かれるのか、分かってきますよ!
すこし物々しい雰囲気のタイトルが付けられていますが、
・ある日突然、他の鳥たちから攻撃を受けるようになってしまった鳥(老鳥)の特徴
・攻撃をした側の鳥への飼い主としての対処(ケア)
など、飼い主からすると「なぜ?突然こんなことをするの・・・」という疑問について、この節では解説されています。
もしかしたら体調が悪いのかなと、なんとなく感じていた鳥が攻撃されるのがほとんどです。
うちの鳥の老いじたく:4章より 引用
飼い主としても、このような事例を知っておくことで対策が出来そうです。
我が家の最年長の文鳥ラムネくんは、現状ではまだリーダーとして確固たる地位を築いていますが(笑)、いつこのような状況に見舞われるか分かりませんね。
ラムネ先輩はいつもキャルルル怖いんです・・・
そっか・・・いまはぼくの方が強いけど、いつかはポテトくんに怒られる日がくるのかもね。
僕は一度だけ、愛鳥を落鳥(鳥が命を落とすこと)させた経験があります。
突然訪れた愛鳥との別れに、思考がついていかずしばらくは気を緩めると涙がいつのまにか流れていたり、ほぼ毎日夢の中にその鳥が現れました。
僕にとって人生で初めてのペットロス、想像を超えるとてつもなく深い悲しみと後悔のような気持ちに見舞われました。
この節でも書かれていますが、動物飼育者のなかであっても「え?たかが小鳥が死んだくらいで・・・」などと、悲しい言葉を鳥の飼育者に対して発する方もいらっしゃいます。
この節では、
・愛するパートナーを亡くした悲しみはどんな動物であれ同等
・多くの共通点がある鳥と人間ゆえに、ペットロスの症状がより強く出てしまう
など、鳥に対するペットロスもごく自然なことであると解説されています。
『うちの鳥の老いじたく』は、すべての鳥飼いさんに読んでいただきたい一冊です。
まだまだ数は少ないものの、鳥の飼育に関する書籍は増えてきました。
しかしながら、鳥の『老い』に焦点を当てた解説書はいままでありませんでした。
いまは元気で活発な愛鳥も必ず年を取り、いつか老います。
老鳥についてその特徴だけでなく、飼い主としての心構えが学べる一冊です。
鳥をお迎えする方には、飼育書をお読みいただくことをいつもおすすめしていますが、『うちの鳥の老いじたく』もお迎えの時点で手にしていただき、老鳥に対する考え方を知っておくことをおすすめしたいです。
そして、先日(2020年5月9日)この書籍の実践編という位置づけの続編『老鳥との暮らしかた』が刊行されました。
そちらの書籍についても、近日中に『鳥くさいどっとこむ』でレビューさせていただきますのでお楽しみに!
あなたと愛鳥さんのバードライフがより良いものとなりますように!それでは、また。バードライフアドバイザーのかたやまひとしでした。
ものゆう さんの Twitter → https://twitter.com/monoy
ものゆう さんの LINEスタンプ → https://store.line.me/stickershop/author/43280/ja