セキセイインコを飼っているのですが、お迎えしたペットショップではシードを与えていたらしく、我が家でもそのままシードを与えています。
獣医師や他の鳥飼いさんからはシードからペレットに切り替えたほうが良いという意見も聞きます。
鳥の健康のためにはペレットとシード、どちらが良いのでしょうか?
鳥飼いさんは誰もが一度は悩んだことのある問題。
主食には『シード』が良いのか『ペレット』が良いのか。
今回の記事のテーマは、鳥さんの主食である『シード』と『ペレット』。
「シードってなあに?」
「ペレットって聞いたことないよ?」
という鳥飼い初心者のあなたはもちろん、シードとペレットどちらを主食で与えたら良いのかお悩み中のあなたにも、ぜひお読みいただきたい内容です。
シードとペレット、それぞれのメリット・デメリットについて。
また、鳥さんの食事において、主要なシードを5種類と人気のペレットメーカーもいくつか紹介しますね。
目次
シードってなあに?
鳥さんの主食、まずはひとつめ『シード』について。
『シード』とは雑穀や穀物など、植物の種のことです。
かつて、飼い鳥さんの主食と言えば、この『シード』がほとんどだったそうです。
日本語の『種』を英語で表すと『seed』です。
では、鳥さんが食べる『シード』には、どのようなものがあるのでしょうか?
きっとみなさんも耳にしたことがあるような名前の雑穀があると思いますよ。
代表的なシードを5種類、紹介しますね。
ヒエ(稗)
縄文時代よりも前から、私たち日本人の主食として食されている穀物です。
環境への適応力に優れていて、寒冷地でも栽培が可能であることから、『ヒエ』の語源は『冷え』からきているのでは?という説もあるほどです。
このあと紹介する『アワ』や『キビ』に比べると、タンパク質は少なめですが、低脂肪で食物繊維が豊富です。
アワ(粟)
紀元前の中国ではヒトの主食だったそうです。
日本でもさきほどの『ヒエ』と同様で、縄文時代にはすでに栽培されていました。
鳥さんと暮らしてらっしゃる方は、耳にしたことがあるかもしれませんが、多くの鳥さんが好んで食べる『粟穂』は、実った『アワ』が穂についたままの状態のものです。
この『粟穂』の状態で『アワ』を食べることを好む鳥さんは非常に多く、我が家でも鳥さんの誕生日には『粟穂パーティー』をするほどです。
このような、粟穂をホールドする便利な商品も販売されています。
ハンドメイド作家のコトリさんが運営するショップ『コトリのおもちゃ屋さん』では、粟穂ホルダー『粟穂くるくる』が大人気商品として販売されています。
ぜひ、下記のリンクからチェックしてみてくださいね。
また、鳥さんのヒナに挿し餌をする際には、殻をむいた『アワ』に卵黄などをからめたいわゆる『アワ玉』を『パウダーフード』とお湯で混ぜたものを与えます。
そのような挿し餌経験がある飼い主さんも、多くいらっしゃるのではないでしょうか。
ちなみにこの『アワ』も低脂肪なシードです。
キビ(黍)
昔話の桃太郎に出てくるきびだんごは、このキビの粉で作ったお団子です。
『ヒエ』『アワ』と同様、低脂肪なシードですが、粒が固くて比較的大きいため、胃への負担がかかりやすいシードです。
よって、ごくまれにですが、キビが消化できない、いわゆる『キビ詰まり』という症状が見られることがあるそうです。
特にセキセイインコは、キビ詰まりを起こしやすい鳥種です。
これら、ヒエ・アワ・キビは、ペットショップなどで市販されている数種類のシードを配合させたいわゆる『ミックスシード』の中に必ずと言っていいほど入っています。
それくらい鳥さんが好んで食べる代表的なシードです。
ただ、先に挙げたキビ詰まりが心配なようでしたら、あらかじめキビが抜かれているブレンドなどもありますので、そちらを与えるのもよいでしょう。
カナリーシード
カナリヤシードとも呼ばれています。
昔からカナリア用の飼料としてよく使われていたことが、その名前の由来だそうです。
脂質が多いので、肥満の原因になるとも言われていますが、さきほど挙げた『ヒエ・アワ・キビ』と比べて脂質は約2倍ほどに過ぎません。
むしろ、先ほど挙げた3種のシードよりもタンパク質が豊富というメリットがあります。
ただ、嗜好性が高いので、『カナリーシード』のみを与え続けることは食べすぎによる肥満を引き起こす可能性もありますので、ほどほどに。
エン麦
オーツ麦などとも呼ばれています。
『エン麦』は可食部分がパウダー状になっているので、胃に負担をかけたくないような状態の鳥さんにも安心して与えることができます。
脂質もさきほどの『カナリーシード』と同じくらいで、『ヒエ』『アワ』『キビ』に比べると若干高いくらいです。
嗜好性も高くタンパク質も豊富で、栄養バランスに優れています。
その他のシード
我が家で主に与えているシードは、今回紹介した『ヒエ・アワ・キビ・カナリーシード・エン麦』の5種類です。
その他にも、ときどき『そばの実』『オーチャードグラス』『フォニオパディ』『アマランサス』『キヌア』などを、「たまには気分転換してみる?」というような感じで与えています。
今回これらのシードの紹介は省略させていただきますが、気になる方はそれぞれネットで検索したり、かかりつけの獣医師に尋ねてみてくださいね。
いずれもネット上でも鳥さん用のシードとして、購入することができます。
『シード』のメリット・デメリット
シードには、鳥さんにとってのメリットもありデメリットもあります。
それぞれいくつか挙げてみますね。
メリット①さまざまな味から選り好みして食べることができる
数種類のシードを混合してパッケージしている商品、いわゆる『ミックスシード』を与えている際、鳥さんは好きなシードを好きな順番で選びながら食べることができます。
自由に食の楽しみを感じることができるでしょう。
メリット②殻をむいて食べるという楽しみがある
鳥さん用のシードには、殻が付いたままの『殻付き餌』と、殻がむかれた状態で販売されている『むき餌』があります。
前者の『殻付き餌』の場合、鳥さんは器用にシードの殻をくちばしでむいて中の種子を食べます。
この殻をむいて食べるという行動自体が、ちょっと大げさかもしれませんが、達成感を感じることができてストレス発散にもつながっているのではないでしょうか。
『殻付き餌』のほうが自然なシードに近く、栄養は『むき餌』よりも豊富だそうです。
メリット③ペレットよりも安価に購入することができる
シードはペレットよりも低価格で購入することができますし、海外製のものが多いペレットに比べると、価格も安定しています。
また、小さなペットショップやホームセンターのペットコーナーでも、『ミックスシード』などは常時商品棚に並んでいることが多く、手に入りやすいです。
デメリット①選り好みするため、栄養のバランスが偏る可能性がある
『シード』のデメリットも挙げていきましょう。
先ほど挙げた1つ目のメリットでもある『選り好みをする』ことによる、良くない面です。
好きなシードを選べる反面、栄養が偏ってしまう可能性があります。
そもそもシードにはビタミンやミネラルがほとんど含まれていません。
よって、シードしかあげていない鳥さんには、野菜やカルシウム飼料、サプリメントなどで栄養を補ってあげる必要があります。
デメリット②殻などが飛び散るので掃除が大変
特に殻付き餌は食べたあとに残された殻が、鳥さんがその周辺で飛びまわるたびに、飛び散ってしまいます。
仕方ないこととはいえ、そのつど大きな掃除機を出すのは結構大変です。
我が家では、ケージ周辺に飛び散ったシードを吸い取るために、ハンディクリーナーを使用したり、フローリングに敷いていたカーペットを思い切って処分して、ロボット掃除機を走らせたりしています。
放鳥後にはテーブルに散らばっているシードを、ササッと床に落としてロボット掃除機をかけると本当に楽ですよ。
ペレットってなあに?
鳥さんの主食、もうひとつは『ペレット』。
飼い鳥さんに必要な栄養素がバランス良く配合された総合栄養食のことです。
さきほど、『シード』しかあげていない鳥さんは、ビタミンやミネラルが不足してしまう、と紹介しましたが、逆に『ペレット』のみの食生活の場合、必要な量をちゃんと食べてさえくれれば、栄養的には問題はありません。
ここでは、以前このブログでも記事にした『ペレットおすすめランキング』において、ダントツで1位に輝いた『ズプリーム』社のものを中心にペレットの特徴などを簡潔に紹介しますね。
ズプリーム
『スプリーム』社のペレットは、タンパク質や脂肪分、鉄分やビタミンなどがバランスが良く配合されていて、栄養の吸収と消化に優れているペレットです。
酸化防止剤が使われていないという点も安心です。
主な味の種類としては、『ナチュラル』と『フルーツブレンド』。
『ナチュラル』は、とうもろこしや大豆、きびなどの穀物はもちろん、人参・セロリ・ビーツ・パセリなどの野菜やクランベリー・ブルーベリーなどのフルーツも配合されていて、無着色ですがとても風味豊かな味わいです。
そして、『フルーツブレンド』。
こちらは、オレンジやリンゴ、バナナやブドウの成分も入っていて、人間の僕たちでもこのペレットのフルーツの香りに食欲をそそられます。
我が家ではこのズプリーム社の『フルーツブレンド』が、一番人気のペレットです。
見ての通り、このフルーツブレンドはいわゆる着色ペレットです。
獣医師によっては、『フンに着色することがあるので、健康チェックに支障が出やすい』とアドバイスをされることもありますので、心配な方はかかりつけの動物病院でご相談されることをおすすめします。
もちろん、鳥さんにも安全な着色料が使用されていますし、体内に吸収されることなく排出されますのでその点は安心です。
ズプリーム社のペレットの他にも、同じく海外製を中心にさまざまなメーカーがペレットを製造しています。
ハリソン
『ハリソン』社のペレットは『人工着色料』『人工香料』『農薬』『保存料』などを使用していないいわゆる『オーガニック』タイプ。
ほかのペレットと比較すると、価格も高めですし開封後の推奨使用期限もかなり短めなんですが、鳥専門の獣医師の多くがおすすめするとても信頼性の高いペレットです。
またペレットは、鳥さんの体のサイズに合わせて、パウダー状のものから小粒、中粒、大粒というように、各種ラインナップされています。
用途に合わせたペレット
風味やサイズだけでなく、鳥さんの年齢、いわゆるライフステージに合わせたペレットも商品展開されています。
『ハリソン』社のハイポテンシーや『ラウディブッシュ』社のハイエネルギーブリーダーは、換羽期や成長期などで高エネルギーな栄養を必要とする鳥さんに。
逆に減量が必要な鳥さんのための低脂肪なタイプの『ラウディブッシュ』社のローファットというペレットもあります。
国産のペレット
ペレットは海外製のものがほとんどですが、最近では日本の飼料メーカーも国産ペレットの開発に力を入れています。
鳥さん向けのシードや健康補助食でも有名な『黒瀬ペットフード』や、観賞魚用飼料のパイオニア企業でもあるキョーリンのブランド『Hikari』からは『キラピピ』というペレットが販売され、どちらの会社のペレットも日本の多くの愛鳥家さんたちが、愛用しています。
『ペレット』のメリット・デメリット
シードと同じように、ペレットにもメリットとデメリットはあります。
いくつか挙げてみましょう。
メリット①栄養をバランスよく摂取できる
ペレットには飼い鳥さんに必要な栄養素がバランス良く配合されています。
シード食では不足してしまうビタミンやミネラルも含まれていますので、ちゃんと食べてさえくれれば食事面での健康管理がしやすくなります。
メリット②シードをバードトレーニングに活用しやすくなる
主食をペレット、おやつとしてシード、という位置づけをすることで、シードをバードトレーニングのご褒美として、また、体調不良時などに落ちてしまった食欲を促すためにも嗜好性の高いシードを効果的に使うことができます。
メリット③動物病院で出される療法食はペレット
肝疾患や腎疾患などの病気にかかっていたり、体調不良時やダイエットが必要な鳥さんに対して、動物病院では療法食用のペレットを処方してくれることがあります。
普段からペレット食に慣れておくことで、いざというときにスムーズに療法食用のペレットを摂取させることができます。
デメリット①味が淡白なため食べてくれない鳥さんもいる
ペレットのデメリットも挙げておきましょう。
シードに比べるとペレットはタンパク質や脂肪分が少ない分、味も淡白で嗜好性が低いようです。
特にシードを主食としてきた鳥さんがペレットに切り替えることは、ほとんどの鳥さんにおいてとても困難です。
多くの鳥飼いさんが悩まされるシードからペレットへの切り替えについては、以下の記事を参考にしてみてください。
デメリット②開封後の使用期限が短い
シードに比べると、ペレットはパッケージ開封後の使用期限がかなり短いので、ペレットの保存について頭を悩ませている飼い主さんは少なくありません。
そのようなお悩みを少しでも緩和させるために、以前『ペレットの保存方法 / 真空パックがおすすめ!』という記事を投稿しております。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
デメリット③海外製のペレットは入手困難になる可能性もある
現状では鳥さん用のペレットは海外製のものが大半を占めています。
世界情勢によって、輸入が困難になったり価格が高騰することもあります。
そのためにも、1種類のペレットだけを与えるのではなく、複数のメーカーのペレットを海外・国内問わず普段から鳥さんに食べ慣れてもらっておくと、リスク回避になります。
シード?ペレット?どっちがいいの?
結局シードとペレット、どちらを主食にしたほうが飼い鳥さんにとって良いのか・・・?
絶対にこっちじゃないとダメ!と断言することは本当に難しいと思います。
栄養のバランスに気を配る必要はありますが、食の楽しみも重視するのであれば、シード。
栄養をできるだけ偏りなく摂取させたいのであれば、ペレット。
ここ数年は、鳥専門の獣医師からもペレット食をおすすめされることが多いです。
我が家ではバランスの取れた栄養と食の楽しみ、両方を考慮して、主食にペレットを複数の種類与えて、放鳥時のおやつやバードトレーニングのごほうびなどとして、少量のシードを与えています。
一日の食事の総量の割合としては、ペレットが7割、シードが2割、残り1割は生の野菜という感じです。
僕のYouTubeチャンネル『鳥くさいちゃんねる』のコミュニティにて、視聴者のみなさんに『あなたの愛鳥さんの主食は、シード?ペレット?どちらですか?』というアンケートを実施してみました。
結果は・・・『シード』が972票、『ペレット』が571票。
と、シードが主食という飼い主さんが圧倒的に多いという結果でした。
個人的には、半々くらいかな・・・と予想していたので意外な結果に驚きました。
あなたはどう感じましたか?
おわりに
鳥さんの食事のことで迷いや悩みがあれば、まずはあなたのかかりつけの獣医師に相談をしてみることをおすすめします。
その上で、日々の体重チェックもおこないつつ、愛鳥さんそれぞれに合った食事環境を飼い主であるあなた自身でも試行錯誤を重ねて、シード、ペレットどちらをメインで与えるのが良いのか決めると良いでしょう。
そして、これは鳥さんの食事に関してだけの話ではありませんが、かかりつけの獣医師よりも、飼い主のあなたのほうが圧倒的に愛鳥さんと過ごす時間は長いです。
あなた自身が一番の担当医と言えるくらいに、愛鳥さんを日々観察をしながら愛情を注ぐことが、理想のバードライフではないかな、と僕は思います。
あなたのバードライフを応援させてくださいね。
『鳥くさいどっとこむ』かたやまひとしでした。