我が家の文鳥は生まれて初めての冬を迎えます。
鳥さんって寒さに弱いのですか?冬の寒さ対策について教えてください。
朝晩と肌寒い季節になってきましたね。
今回はインコなど飼い鳥の冬の寒さ対策について『鳥は寒さに弱いのか?』『室内の適温とおすすめの温度計』『保温方法とおすすめの保温器具』『我が家の冬の電気代』『冬のお出かけ』以上のような項目を中心に解説します。
目次
鳥は寒さに弱い?
まず、そもそも鳥が寒さに弱いのかどうかという点についてですが、野外の厳しい環境下に順応して生活している野鳥とは違って、飼育下における鳥は一般的には寒さに弱いと言われています。
特に初めての冬を迎える幼鳥、あるいは老鳥、病気を患っている鳥は寒さはもちろん急激な寒暖の差に弱いです。
身体が冷えることで、免疫力が落ちて体調不良に陥ったり感染症を発症する危険性も高まります。
ただ、長年鳥の飼育をされているベテラン飼育者の方からは『保温をしなくても大丈夫、むしろ過保護にすることで余計に寒さに弱い身体になってしまう』と飼い鳥に対する過度な保温に対して否定的な意見も聞きます。
たしかにヒーターなどの保温器具がなかった数十年前でも長生きしていた鳥は多くいたでしょうから、冬の寒さにもある程度は耐えられるのかもしれません。
しかし、最近の飼い鳥たちは保温器具などの普及にともない、適切な温度管理のもとで慣れ育っているケースが多く、その子孫たちもまた同じような体質を受け継いでいたとしたら、極端な話、鳥を屋外やエアコンも保温器具も使用されていない冷えた室内で飼育するのはちょっと酷な話ではないかな?と個人的には考えます。
僕は鳥さんと暮らして9年ほどたちますが、多くの飼育本やお世話になっている動物病院の先生方のアドバイス通り、毎年寒い時期には適切と言われる温度になるように室温を設定したり、ケージ内の保温をおこなっています。
室内の適温は?
年齢・健康状態によって適温は異なる
鳥と暮らす室内の適温は、年齢や健康状態によって異なります。
幼鳥(1歳未満)および老鳥 | 25℃〜30℃ |
健康な成鳥 | 20℃〜25℃ |
病気を患っている鳥 | 28℃〜30℃ |
ヒナに関してはもう少し高く、28℃前後でも良いでしょう。
ヒナや幼鳥などは体温調整機能がまだ未熟です。
保温のし過ぎに注意
健康な成鳥の場合、あまり温度を上げ過ぎてしまうと発情を促進させてしまう可能性があります。
過度な発情はメス・オスともにさまざまな病気を引き起こす原因ともなりますので要注意です。
「寒いよ〜」のサインに気付いてあげて!
季節を問わず室内およびケージ内の温度はいつでもチェックができるように温度計を設置して、ときおり温度を確認するクセをつけるとよいでしょう。
とはいえ、温度計の数字だけにとらわれていてはいけません。
鳥をよく観察していると『寒いよう』というサインを出していることがあります。
例えば、羽毛をぼわっと膨らませていたり、片方の脚を体にしまって片脚立ちをしていたり、くちばしを背中にうずめていたり。
ただ、寒くないときにもこれらの仕草をすることがありますので、普段からよく観察して違いを見極めたり、ケージ内の保温を強めてみてそれでもそのようなしぐさを続けるようであれば、寒いというサインですのでそのまま保温を続けて様子を見てあげてくださいね。
また、老鳥さんに関しては書籍『うちの鳥の老いじたく』によると・・・
本当は寒いのに、脳の認識が遅れて、その鳥が寒いと感じたときには体が冷えきっていて、風邪の初期症状が出たり、食欲不振が起こったりすることもあります。
うちの鳥の老いじたく:1章より引用
人間のお年寄りと同じように、鳥さんも老いると寒さに対する感覚が鈍くなるようです。
老鳥さんの場合は「寒いよ」のサインが見られなくても、室温をこまめにチェックしながらケージ内・ケージ周辺の温度を調節してあげてください。
おすすめの温度計(温湿度計)
我が家で使用している温度計(温湿度計)はこちらです。
ケージのそばに設置しています。
- 文字が大きいのでケージから離れていても確認できる
- 24時間以内の温度・湿度それぞれの最高値と最低値がわかる
- 湿度を基準としたコンフォート(快適さ)レベルが表示される
- 温度・湿度ともに上昇しつつあるのか、下降ぎみなのか、維持しているのかが矢印でわかる
- 暗い場所でもタッチをするとバックライトで画面光る
保温方法
保温の基本はエアコンでの室温調整です。
しかし、室温がなかなか上がらない日や鳥さんが寒そうにしているときは、小動物や鳥さん用のヒーターでケージ内(ケージ周辺)を温めましょう。
ケージ自体をアクリルケージ(アクリルケース)で囲ってしまうのも効果的です。
また、サーモスタットを併用することで温度の上がり過ぎを防止できます。
保温電球
保温電球は、熱を放射してケージ内やケージ周りの温度を上昇させることが出来ます。(※ケージ全体など広範囲を温めることはできません)
保温電球は、スチール製のカバーを付けて使用しますので、電球に直接鳥が触れることはなく基本的には安全です。
ただ、設置場所によっては保温電球のカバーの上に鳥が座ってしまうこともあります。
カバーの上とはいえ、長時間鳥の脚や身体が触れ続けてしまうと低温やけどを発症する危険性もありますので、そのような場合はケージ内ではなくケージの外側に設置するなど設置場所に考慮しましょう。
(※噛む力の強い鳥さんがコードを噛んでしまうことで、火災や感電を引き起こす危険性もありますのでご注意ください。)
メーカーによる参考値(保温電球周辺の温度)
20W:+4℃
40W:+7℃
60W:+10℃
100W:+15℃
参考までに我が家では、文鳥とサザナミインコのケージには20Wの保温電球を、オカメインコのケージには40Wの保温電球を使用しています。
ケージのサイズや、設置場所によっても保温電球のワット数を決めるのも良いでしょう。
保温電球を久しぶりに稼働させるときにはもちろん、気付いたときにそのつど、ちゃんと正常に熱を発しているかどうか確認をしましょう。
上記の商品は電球とスチール製のカバーがセットで販売されていますが、下記のように電球だけでも販売されていますので、交換用もしくは予備としてストックしておくことをおすすめします。
我が家では鳥たちを寝かせるときには、ケージにおやすみカバー(HOEI製)を掛けています。
冬のとくに寒い日には、ケージ内の保温電球を稼働させたままおやすみカバーを掛けていたのですが、先日ふとおやすみカバーの内側を見ると・・・
保温電球に近い箇所が溶けたような状態になっていました。
おやすみカバーの製造元HOEI(ホーエイ)さまのサイトの『よくあるご質問』を確認したところ・・・以下のような注意点が記述されてありました。
暖房器具との併用はお避けください(カバーの変形・火災の原因や、酸素濃度が下がる恐れがあります)
HOEI公式サイト よくあるご質問 より引用
一方で、保温電球を製造されているマルカンさまのサイトには同じような内容の注意書きが見当たりませんでしたが、商品の箱には『紙や布で覆わないでください』という旨の注意書きが記載されていました。
鳥さんを飼育して9年、そんなことも知らずに保温電球を稼働させたままおやすみカバーを掛けていた・・・本当にだめな飼い主です・・・
そこで、マルカンさまのお客様相談室へこの注意点について詳しく伺いたく、直接電話をさせていただきました。
ご担当者さま了承の元、マルカンさまの見解とその他保温電球についての質問にお答え頂きましたので掲載します。
みなさまも以下のような注意点を守りながら、正しく安全に保温電球を使用しましょう。
Q.HOEIさまのおやすみカバーをケージに掛けた状態で、ケージ内の保温電球を稼働させることは危険ですか?
A.危険である可能性は十分にあります。
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Q.保温電球の周辺は何℃くらいの熱を放射していますか?
A.保温電球の周辺は側面・上下部ともに80℃以上、ワット数によってはときに100℃を超える熱線が放射されております。よって、ケージの網越しであっても、おやすみカバーの変形・変色などを引き起こすことがあります。
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Q.おやすみカバーを掛けた状態でケージ内の保温電球を稼働させることは無理ですか?
A.もし、併用される場合は、保温電球とおやすみカバーなどの布との距離を少なくとも5センチ以上離して頂くようお願いしております。距離を取るほかにも、おやすみカバーと保温電球が重なる部分の布を切り取っていただく、ダンボールやプラスチックなどで囲いを作るなどして、かならず一箇所は空間を作って頂くことで、火災事故や酸欠状態を防ぐことができます。
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Q.保温電球の替え時(交換のタイミング)を教えてください。
A.電球の交換時期の目安は約1,500時間です。たとえば、一日10時間稼働させたとして約5ヶ月ほどだとお考えください。1,500時間以上稼働させた場合、いつ突然電球が切れてもおかしくはありません。ただ、電球が切れなかった場合はそのままお使い頂いても大丈夫です。ただ、安心してお使い頂くためにも、ワンシーズン毎の交換を推奨しております。
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Q.保温電球が発する温度は、使用期間が長くなることで徐々に温度が下がってしまうのでしょうか?
A.発熱温度が徐々に下がっていくということはございません。ONかOFF、正常に稼働しているか突然切れてしまうかのどちらかです。
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Q.本体部分(ソケット自体)の耐久年数を教えてください。
A.ソケット部分(電球との接点部分)には、電球のON・OFF時に少ないながらも負荷が掛かっております。この箇所が消耗仕切ってしまうことで、故障してしまうことはありますが、他には配線をよほど折り曲げたりしない限りは、調子が良ければ本体部分は使用し続けることは可能です。
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(上記にあるおやすみカバーとの併用に関して・耐久などに関する目安はあくまで参考値としてお考えください。使用環境などによっても安全に使用できる期間などは異なります。さらに詳しくお知りになりたい場合は、マルカンさまのお客様相談室(072-931-0345 土日祝日を除く月~金 9時~12時 / 13時~16時)へ直接お尋ねいただくことをおすすめします。
我が家ではとりあえず応急処置として、上記画像のようにおやすみカバーと保温電球とが重ならないようにしてみました。
ただ、このままだと光が入ってしまって鳥さんの休息を妨げる恐れがあるので、アドバイスを参考に、今後改めてしっかりと対策を行います。
株式会社マルカンのご担当者さま、丁寧にご対応いただきありがとうございました!
サーモスタット
保温電球と併せて使いたいのが、このサーモスタットです。
設定温度を上回ると自動的にヒーターの電源が落ちます。
そして、再び設定温度を下回ると自動的にヒーターの電源がつき、設定した快適な温度を保つことができます。
我が家ではアクリルケージ(アクリルケース)内の温度が上昇しすぎるのを防ぐために使用しています。
( ※保温電球などに接続して使用します。サーモスタット自体には保温機能はありません。)
パネルヒーター
我が家で使用しているパネルタイプのバードヒーターです。
鳥さんが「寒い」と思ったときに寄りそうことで体温を温めることができます。
- 2段階(80℃と95℃)の表面温度設定ができる
- 加熱と保温を繰り返すので過度の高温状態にならない
- 保温電球よりも鳥さんが熱を感じることができる面積が広い
- 横型でも縦型でも設置可能
- 数ヶ月電源をつけたままでも安全
- 1ヶ月あたりの電気代は300円を切る
- 日本製
ちなみに我が家では、保温電球やパネルヒーターを一年中設置したままにしています。
そのきっかけとなったのは、初めてお迎えした文鳥さんが最初の冬を過ごしたあと、春になって保温電球を取り外したんです。
そして次の冬が近づいてきたころ、再び保温電球を取り付けると、まるで初めて見たかのように保温電球にびっくりしてしまって・・・パニックになったんですね。
保温電球のこと、忘れてしまっていたのでしょう。またイチから保温電球に慣れてもらうトレーニングをして、やっとケージに取り付けることが出来たんです。
それ以降、我が家では一年中、保温電球やパネルヒーターは設置してあります。
もちろん、寒くない時期はコンセントからコードを抜いています。あと、鳥さんの体調が崩れてしまった際にもすぐに作動させることできるので、一年中保温器具を設置したままというのはおすすめですよ。
アクリルケージ(アクリルケース)
アクリルケージ(アクリルケース)と保温電球、サーモスタットを併用することで、保温効果を効率的に維持することができます。
冬の寒さ対策はもちろん、夏はエアコンの冷たい風を直接受けないようにする効果も期待できます。
また、アクリルケージ(アクリルケース)には、防音・防塵効果もあります。
我が家ではオカメインコのポテトくんのケージにアクリルケージ(アクリルケース)を利用しています。
基本的には身体が大きな鳥さんになればなるほど、鳴き声は大きくなりますが、小型や中型の鳥さんでも(飼い主が視界から見えなくなったときなど)呼び鳴きはかなりの声量で鳴きます。
オカメインコのように脂粉が出やすい鳥さんの場合は、アクリルケージ(アクリルケース)でケージを覆うことで、脂粉の飛散を防ぐこともできます。喘息気味の方などにもおすすめです。
冬の電気代
このグラフは2017年10月から2018年9月まで1年間の僕の部屋(ワンルームで約8畳)の電気料金の推移です。
冬は高いときで、ひと月12,000円ほどの電気代がかかっています。
冬の暖房も夏の冷房も、ピーク時には外出の際でもエアコンをつけっぱなしで出かけたりしますが、とくに冬の電気代がかさんでいるのは外気温と室内の気温の差が激しいほど消費電力を必要とするエアコンの特性によるものだと思われます。
冬のおでかけは準備を万全に!
当たり前ですが、鳥さんは季節関係なく体調を崩したり怪我などをして、動物病院を受診する機会はいつ何時訪れるか分かりません。
動物病院への通院は、車・電車・徒歩どのような移動手段であっても、多かれ少なかれ冷たい外気に触れることにはなりますので、キャリーケージやプラケースなどの移動用ケージ内を出来るだけ快適な温度に温めた状態で、鳥さんを運びたいものです。
我が家での冬の移動時の保温・防寒スタイルを紹介しますね。
これらのキャリーケージとバッグの隙間に、『ゆたぽん』というジェルタイプのゆたんぽを挟みます。
このバッグは上部を覆うことができ、外気に触れてしまう隙間はそれほど大きくはありませんが、下のようなバッグの場合はブランケットや厚手のタオルなどで空気穴を確保しつつ、少しでも冷気の侵入を防ぐように工夫しましょう。
使い捨てカイロを密閉に近いプラケースや空気孔の少ないバッグ内で使用すると、鳥さんが酸欠状態になる危険性があります。
移動時においても自宅においても、使い捨てカイロでの保温は避けましょう。