「最近、うちのインコがやたらと甘えてくる」「体をこすりつけたり、変なポーズをとるけど大丈夫?」
そんなふうに、愛鳥さんの行動にちょっとした違和感を覚えたことはありませんか?
実は、それ発情のサインかもしれません。発情を繰り返すと卵詰まりや栄養不足などによる健康リスクが高まり、寿命を縮める原因にもなります。特に過発情(持続発情)は、飼い鳥さんの健康を大きく脅かす深刻な問題です。
しかし、発情を完全に止めることはできなくても、 適切な管理で発情を抑制することは可能 です!実際、我が家で飼育しているサザナミインコも、適切な体重管理を行うことで発情行動が大幅に減少しました。
- 飼い鳥さんが発情する原因と抑制すべきポイント
- 発情を防ぐための「食事・体重管理」の具体策
- 我が家の愛鳥で実践した発情対策の成功例
を詳しく解説していきます!
愛鳥さんの健康を守り、より快適なバードライフを送るために、 正しい発情対策を学んでいきましょう!
目次
【発情抑制のポイント】発情を防ぐための具体策とは?
飼い鳥の発情抑制を効果的に行うためには、以下のポイントに注意することが重要です。
愛鳥さんとの接し方を見直す
野生の鳥さんは、発情の相手が同種の鳥ですが、 飼い鳥さんの場合は飼い主さんが発情の対象になることもあります。
- 発情のサイン(攻撃的になる・暗い場所などを好む・フンの量が増える・餌の吐き戻し・お尻をスリスリ など)が見られたら、過度なスキンシップは控えましょう。
- 頭や体をなでる行為は、発情を促す場合があります。
- 飼い主としてはつらいですが・・・甘えすぎの兆候が見られたら、適度な距離感を意識しましょう。
発情を促す環境を整える(場所・モノの管理)
飼い鳥さんの発情を促す要因は、飼育環境にも大きく影響されます。
- 巣箱・つぼ巣・バードテントなどの巣作りを連想させるものは取り除く。
- 服の袖口やバッグの中、狭い暗い場所を好む場合は出入りを制限する。
- ケージ内のレイアウトを変え、特定のおもちゃなどへの執着をなくす。
発情の原因となる環境を減らすことで、発情しにくい状態にできます。
日長時間(室内が明るい時間)を管理する
日長時間も発情を大きく左右する要因のひとつです。
- 12時間以上は静かな部屋でおやすみカバーをかけて暗くする。
- 文鳥は逆に日照時間が短いと発情しやすいため、注意が必要です。
とはいえ、飼い主さんの生活サイクルもさまざまな現代です。遅い時間に帰宅してすぐにおやすみカバーをかけてしまうのは、あなたの帰りをずっと待っていた愛鳥さんからすると、とても悲しくストレスを与えてしまいます。そのような場合は、数分でも良いのでケージから出していっしょに遊んであげてくださいね。
室温を適切に調整する
野生下では鳥さんの多くは、温かい 季節になると繁殖活動が盛んになります。
飼い鳥さんの場合、冬など寒い時期でも室内で暖房を使用することで、年中発情しやすい環境におかれてしまうことがありますので、注意が必要です。
- 冬でも過保護にしすぎず、適温を意識(寒すぎず、暑すぎず)。
- エアコンやヒーターの使用は、発情を促しすぎないように調整。
「寒さ対策」ももちろん大切ですが、発情抑制の策として、適度な室温調整も心がけましょう。
と、ここまで発情を抑えるポイントを4つ挙げてみましたが、実はこのあと最後にお伝えするポイントが、最重要な発情抑制の策なんです。発情抑制の一番の土台となる5つ目のポイントは・・・
そう!『食事・体重管理』です!
発情抑制は『食事・体重管理』が9割!適切な管理方法を解説
飼い鳥さんの 発情抑制 において、 『食事・体重管理』は最も重要なポイントです。特にメスの鳥さんは 繁殖の準備として本能的に栄養を蓄えようとする ため、適切な食事管理が発情を抑えるカギになります。
野生の鳥さんは食料が限られていますが、 飼育下の鳥さんは餌を与えられる限り食べ続けてしまう傾向があります。その結果、必要以上の栄養摂取が発情の引き金となり、無駄な産卵につながることも。
発情を抑えるためには、飼い主さんが意識的に餌の量をコントロールする必要があります。
そこで今回は、『食事・体重管理』で発情を防ぐ具体的な方法を3ステップで解説しますね。
上記資料のように、鳥種ごとに平均的な体重は目安として存在はします。
ただ、その数値の幅は結構広く、あなたの愛鳥さんにとっての適正体重を知ることはできません。同じ鳥種でも体の大きさには個体差があり、骨格や筋肉の量によっても適正体重は異なるからです。
適正体重を知るには、かかりつけの動物病院で体重測定と併せて触診などをしてもらって、いまの体重があなたの愛鳥さんにとって太りすぎていないか、やせすぎていないか、ちょうど良いくらいなのか、診断をしてもらいましょう。
①
現在愛鳥さんに与えている一日の食事量をはかりましょう。(※キッチンスケールなどをつかってきっちりとはかってください)
②
現在の体重と適正体重を比較する
③
・適正体重より重い場合は、0.5〜1.5gの範囲内で餌の量を減らす。
・適正体重より軽い場合は、0.5g〜1.5gの範囲内で餌の量を増やす。
・適正体重とほぼ変わらないベストな状態であれば、現在与えている餌の量をキープする。
あとは毎日愛鳥さんの体重をはかるだけです。
できれば『朝の決まった時間』に体重を測定しましょう。
- 適正体重に近づくまで、食事量を0.5g〜1.5gの範囲内で毎日調整していきます。
- 適正体重までかなり開きがあるからといって、一気に食事量を減らしたり増やしたりしないように!
発情スイッチが入らないように・・・
2023年6月のことでした。我が家のサザナミインコなすびちゃんが7歳にして初めて卵を体内に形成しました。
さらには、自力で産卵することができない状態に陥ってしまったんです。
しかも・・・通常の卵詰まりよりもやっかいで、手術が必要な『卵墜症(らんついしょう)』という症状。
こちら⬆️の動画にあるように、手術は無事に成功しました。
そして、その手術後に担当の獣医師から・・・
『発情抑制において【食事・体重管理】が一番土台となる』と力強くいわれたことがきっかけで 、僕は発情抑制に対する意識を【食事・体重管理】に重きをおくよう、シフトしました。
おかげで、我が家のサザナミインコたち、2羽ともメスですが、卵はもちろん最近は発情行動すら見かけることがなくなりました!
最後に、我が家のサザナミインコなすびちゃんを例に実際にどのように『食事・体重管理』をしているのか、分かりやすく箇条書きで紹介しますね。
- サザナミインコの場合、発情して卵管が発達すると体重が3〜4g増える
- 実際に卵が形成されると、さらに2〜3g増える
- なすびちゃんの適正体重は45g
- (A)適正体重を超え始めたら、すぐにエサの量を減らす
- (B)適正体重に戻ってきたら、エサの量を戻す
- (A)(B)を繰り返して日々調整する
- 適正体重(45g)からたった1gの体重増加(46g)で、なすびちゃんの発情スイッチが入ることもある
我が家では発情期になると、適正体重よりもマイナス1g(44g)を目標に食事量をコントロールします。
そうすることで、発情スイッチが入る体重になるまでの余裕を持たせることができるからです。
おわりに
飼い鳥さんの発情抑制にはいくつか効果的な対策がありますが、そのなかでも基本の基本、土台となる『食事・体重管理』をしっかりとおこなうことで、発情のスイッチを入れてしまうことはかなり回避できるようになります。
食事量を減らす場合、飼い主さんによっては愛鳥さんが可愛そうで・・・と、なかなか減量に踏み込めない方もいらっしゃいます。
でも、特にメスの鳥さんで繁殖を考えていない場合は、発情させて無精卵を作ってしまい、産卵させることで、その都度命の危険にさらしてしまいます。無駄な発情を回避するために、ほんのちょっとだけ心を鬼にして、『食事・体重管理』をおこなってあげてください。
併せて、メスの鳥さんの場合はできるだけ毎日『骨盤チェック』で発情の状態を確認してあげることをおすすめします。
骨盤の開き具合を確認できる『骨盤チェック』のやり方については、下記の動画にて詳しく解説しておりますのでチェックしてみてくださいね。
あなたのバードライフを応援しています!
『鳥くさいどっとこむ』かたやまひとしでした。